オーガニックな植物の育て方

農薬や化学肥料を使わずにできるだけ植物をオーガニックに育ててみたいもの。環境に優しい栽培方法ですが、気になるのは病害虫対策。しかしお手入れをしっかり行えば、病害虫に負けない丈夫な植物を育てられます。オーガニックなお手入れ方法や栽培のポイントを解説します。

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環境に優しいガーデニングとは

最近、農薬や化学肥料を使わずに植物を栽培するオーガニックな庭づくりへの関心が高まっています。はじめに、環境に優しい庭づくりとは何なのかを解説します。

農薬や化学肥料を使わない栽培方法

農薬や化学肥料を使わず、できる限り自然の状態で植物を栽培することで、微生物が活発に働き良い土ができ、その結果、植物が元気に育ちます。

また農薬による人やペットの健康への影響も心配する必要がないため、環境にも人や動物にもやさしい栽培方法なのです。

基本的なお手入れ方法

オーガニックな庭づくりでは良い土を作ることと、病害虫対策をしっかり行うことが基本です。失敗しないためにも、まずは基本のお手入れ方法を押さえておきましょう。

① 土づくりは有機物や水分のバランスを考慮する

植物は、生育する上で欠かせない養分を土から吸収するため、オーガニックな庭づくりでも土づくりがとても重要です。有機物が豊富に含まれている、微生物が育ちやすい、水分のバランスを保ちやすい、などが良い土の条件に挙げられます。

植物を植える前にバーク堆肥や牛糞、くん炭などを土に加えて耕し、土壌改良を行いましょう。そうすることで、微生物やミミズなどが有機物を土壌に取り込み、良い土を作ってくれます。

② 病害虫対策は種まきや植え付け後から行う

オーガニックな庭づくりの病害虫対策でおすすめなのがマルチング。マルチングとは畝にマルチ(ビニールシート)をかぶせることを言います。種まきや植え付け後すぐにマルチングすれば、虫や雑草が侵入しづらくなります。この時、隙間がないようにしっかり固定するのがポイントです。

他にもネットやメッシュなどを使い、病害虫や鳥などによる被害から植物を守る方法もあります。また、植物の状態をこまめにチェックするのも重要です。病気を発見した場合は、すぐに取り除くなど対策を行いましょう。

③ 水や肥料は与え過ぎに注意する

品種によっては水や肥料が必要なものと、そうでないものがあります。そのため水や肥料は、必要な品種に最低限与えましょう。

基本的に水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりとあげるようにします。また、肥料は与えすぎると生育が早い反面、病害虫に弱くなるので注意が必要です。

さらに特別なお手入れ方法

庭づくりで気になるのが、害虫や病気の被害。基本の病害虫対策を行った上で、さらに特別なお手入れ方法を取り入れると植物を守れます。こちらでは、植物保護液と木酢液で作る病害虫予防スプレーでのお手入れ方法を紹介します。

植物保護液と木酢液を混ぜた液で病害虫対策をする

オーガニックなお手入れには、植物保護液と木酢液を使用するのがおすすめです。植物保護液は生薬が配合された漢方薬を使用します。人間やペット、池の魚にも安全です。農薬のように殺虫効果はありませんが、生薬の成分には植物本来の自己免疫力をアップさせる働きがあるため、使用を繰り返すうちに害虫の被害が減っていくでしょう。

植物保護剤は消毒剤などとして使用される石灰硫黄剤と併用すると、ガスが発生し非常に危険なので取り扱いに注意してください。木酢液は植物保護液の補助液として使用することで、成分が浸透しやすく効果が高くなります。ただし、木酢液にはホルムアルデヒドが含まれているため、十分に希釈して使用しましょう。

お手入れ用の液の作り方

<用意するもの>

  • 植物保護液
  • 木酢液
  • ハンディスプレーまたは噴霧器

<作り方>

  1. 木酢液を1000倍に薄める。1リットルの水に1ccの木酢液を入れてよく振って混ぜる。
  2. 1.に植物保護液を1cc入れる(1000倍になるように1リットルの水に1cc)。成分が沈殿しやすいのでしっかり振って混ぜる。

虫が大量発生している時や冬の葉のない時期に予防的に使用する場合は、液の濃度を500倍(1リットルの水に2cc)にして少し濃いめにすると効果的です。木酢液と植物保護液は原液のままではなく、必ず薄めて使用してください。

液の散布方法

葉からしずくが落ちるくらいを目安に葉の表面と裏面両方、株の根元にたっぷり薬液を散布します。葉から落ちた液は微生物のエサや、土の微量要素になるなどメリットも。

散布のタイミングは晴れた日の朝か夕方がおすすめです。葉が焼けやすい日差しが強い日の日中や、散布した薬液が流れてしまう雨の日は避けましょう。

栽培のポイント

オーガニックな庭づくりでは育てやすさや、栽培環境に合った品種を選ぶなどの工夫をすることも大切です。オーガニックなガーデンライフを順調に実践するためにも、栽培のポイントを押さえておきましょう。

複数の植物を植える

植物はなるべく複数の品種を一緒に植えるのがおすすめ。その周りで生息する微生物や昆虫類、鳥、小動物なども多種多様になるからです。やがて生態系ができると害虫を食べる動物も出てくるため、植物への被害が減ってきます。

また野菜は草花と一緒に植えると、ミツバチのような植物に害のない昆虫が寄ってきて受粉を行うなど生育の手助けをしてくれます。

育てやすい品種を選ぶ

植物の品種によって育てやすさは異なります。オーガニックなガーデンでは、丈夫で育てやすい品種を選ぶのがおすすめです。住んでいる地域によって寒暖差があるため、気候も考慮しなければいけません。品種情報などを参考に選んでください。

はじめは他の植物よりも栽培しやすいレタスや、パセリなどの葉物野菜からチャレンジするのが良いでしょう。

植物が育ちやすい環境を作る

丈夫な植物を育てるためには環境づくりも大切です。環境に合わないと病害虫の被害を受けやすくなります。植物が育ちやすい環境で栽培すれば、わずかな病害虫の被害なら再生する可能性があります。

まずは日当たりや風通しが良く、強風があたりすぎない場所で植物を育てましょう。強風が当たりすぎると土が乾燥しやすくなってしまいます。もし強風が当たる場所に庭がある場合は、風除けを作ることで対策できます。

また、日々のお手入れも大切。咲き終わった花を取り除く「花がら摘み」をしたり、背丈が高い、または横に広がる植物なら、花の終わりに花数の減りに合わせて剪定したりしましょう。野菜は間引きやわき芽取りをするなどのお手入れも、忘れずに行ってください。

オーガニックな庭づくりはこまめなお手入れが大切

オーガニックな庭づくりでは農薬や化学肥料を使わないため、こまめなお手入れが欠かせません。手間はかかりますが、家族やペット、環境にも優しいのでチャレンジする価値があります。また、元気いっぱいの植物が育てば充実感も味わえるでしょう。