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一生残したい1点モノ
物を修復し末永く使っていく
金継ぎと修復の文化

「金継ぎ」ってご存知ですか?

「金継ぎ」とは、割れたり欠けたりしてしまった焼き物を、漆を使い接着し、繕った部分を金で装飾していくという修理方法です。「金継ぎ」はその方法から、新漆を使ったやり方や、本漆を使ったやり方まで、職人さんそれぞれの個性により、使う道具や方法はさまざまです。

「金継ぎ」は数世紀にわたる歴史ある修復の手法で、漆と純金粉や純銀粉を用いて繕います。割れたり欠けたりしてしまった焼き物も、繕いの後を金で継ぐことによって、新たな風合いや魅力を見せ、修復により金をあしらった焼き物はその道具の価値を増すとも言われています。

金継ぎ職人でありながら、伊賀焼や信楽焼など1点モノの器をお客様の気分に合わせて提案し、日本茶を楽しませてくれるカフェを経営されている、小林剛人さんという方にお会いしてきました。

小林さんの金継ぎの手法は、新漆と真鍮粉を使った簡易継ぎと呼ばれるものだそうで、修復の依頼は小さなぐい飲みなどから、片手では持ち上げることが困難なほど大きな器までさまざま。その数も多く、数カ月先まで修復の依頼が入っているなど、金継ぎの需要を伺い知ることができました。

モノに出会い〜手に入れ〜使い続けるという循環

小林さんは、「日本の良きモノ」をコンセプトに、一点一点にこだわり、ひとつひとつに込められた心を伝え続けること、そしてその物を通じてその違いを楽しみながら生活することを提案されています。まだ器に触れたことのない若い人でも、自分自身で時間をかけて一品を選び、それを大切に使い続けていく…そういったことを通じて、物の価値を感じて欲しいと考えておられます。

また、陶器は道具としてだけではなく、その個性や魅力を味わう「モノを使う時間」を、とても贅沢で素敵な時間に変えてくれるものです。昨今、安価で大量生産される食器でも、食器そのものの機能としては十分役には立ちますが、そこに生活の彩りまでを添えてくれることはほとんどないはずだ、小林さんは話されます。

自分が心を込めて選び、手にした、お気に入りの陶器で楽しむお茶や食事の時間は、本人だけでなく、その時間を共有する人たちの心に、優雅なひとときを提供してくれるもの。 自身の経営するカフェでは、選び抜かれた器をお客様に紹介し触れてもらいながら、店内の傍らでは作家さんの器を販売されています。器に触れることによって、1点モノの良さを感じてもらい、自分自身のお気に入りの一品と出会って欲しいと語られます。

そして、そうやって手に入れた陶器を使う過程で、割れたり欠けたりしてしまったりした場合でも、小林さんの金継ぎの技法により、修復させ末永くその陶器を使い続けていくことができるのです。一見すると、カフェと金継ぎは異なる世界にも感じられますが、物と出会い、それを手に入れ、使い続けるという循環を、カフェの空間を通じてお客様に知っていただければとの思いを持っておられます。

モノだけでなく、住まいも「末永く」という考え方

もったいない」という言葉がありますが、これは「物の価値を十分に生かしきれておらず無駄にしてしまっている」という意味で、物は使ってこそ、その存在意義が生じると言えます。物の本来の価値は、きちんと使って、メンテナンスし、使い続けること、または使い切ることにあるはずです。

また、物が簡単に手に入り、本当の必要性を深く考えて所有することが少なくなっている昨今、私たちは物に溢れて生活をしてしまいがちです。その溢れた物を使い切れず、捨てられず、だからこそ収納術や片付け術に頼ってしまう。

物の本来の姿を考えると、自分のお気に入りを選び、気に入ったものを手に入れ、それをきちんと使い、またそれを使う時間を楽しむ。生活に楽しみや華を添えてくれるものだからこそ、しっかりと手入れをしながら使い続けていくといった循環が、とても理想的なのではないか・・・と感じます。

ヨーロッパでの旅の中で小林さんは、欧州の文化が、現代の日本のように使い捨ての文化ではなく、自分が気に入ったものを購入し、一生使い続けるために修復しながら使い続けていく、素晴らしい文化だと感じられたそうです。その文化から、靴や絵画、傘などの修復師という職業があり、そういった人たちに支えられ、リペアの文化が時代を超えて継承されているのです。

住まいも今は、手入れをして末永く住み継ぐ時代です。ご家族で素敵な時間を共有できるかけがえのない空間。ぜひ皆様の「住友林業の家」にも手をかけ、大切にメンテナンスをしていくことで、末永く住み継いでいただければと思います。

登場人物紹介

檜山陽子
(専業主婦)

陽子は、夫である健一、10歳の息子、8歳の娘との4人暮らし。ペットのミニチュアダックスもいつも一緒。おっとりした性格であるが、好奇心旺盛で興味の対象には熱中する38歳の専業主婦。陽子の今一番の関心事は、家族の健康。

檜山健一
(陽子の夫)

陽子の夫で、阪神大震災の被災経験を持つ39歳。大手メーカーの営業課長で平日は夜遅くの帰宅が多い。休日は子供との交流や陽子の家事を手伝う、檜山家の大黒柱。

檜山大樹
(陽子の長男)

公立小学校に通う4年生。サッカーが大好きで活発な育ち盛り。性格は積極的で、好奇心も旺盛。いろんなことに興味をもつところは母親ゆずり。

檜山さくら
(陽子の長女)

公立小学校に通う2年生。両親に似て社交的な性格で、誰とでも仲良くなれる。少しおませな一面もあり、母親の家事を手伝うのが大好き。

ショコラ
(檜山家のペット)

檜山家の一員となってからもうすぐ2年のミニチュアダックスのオス。
好奇心旺盛な性格で、毎日の陽子さんの散歩と庭での穴掘り遊びが大好き

大木美智子
(おばあちゃん)

檜山家のご近所に住む、上品で博識な75歳の老婦人。料理研究家の肩書きを持ち、80歳の夫と一緒に暮らしている。昔から受け継がれた知恵で、丁寧に家の手入れを行っている。

大地博
(博士)

国立大学工学部建築学科卒業後、アメリカへ留学し、博士号取得。大手建設事務所勤務の後、大学の教授に就任。自ら設計した実験住宅に住み、環境にやさしい家を思考する60歳。檜山健一の父親と先輩後輩の間柄。

ジョニー
(健一の友人)

健一の学生時代からの友人でカリフォルニア出身の39歳。 両親と妻、2人の子供とロサンゼルスのロングビーチに暮らしている。 健一と知り合ったことをきっかけに、日本の文化(特に建築)に興味を持つ。 日本へは、時々出張で来日する。