木質感豊かな大空間で、新たな素麺文化を地域に発信する。

神の降臨する山として古くから崇められている三輪山の麓、奈良県桜井市に凛として佇む木の建物。じつは、外観から想像もつかない素麺専門店です。約1200年前、素麺発祥の地と言われ、三輪素麺の伝統を守り革新に挑む「マル勝髙田商店」。その代表取締役の髙田勝一様が、6年ほど前にご自宅を住友林業で建てられたご縁から、はじまりました。

1階店舗「てのべ たかだや」と2階本社の新社屋を兼ね、素麺の新しい価値を発信する場としています。企業としてめざしたのは、『環境改革』『意識改革』『市場改革』。新しい発想がここから生まれ、いろいろな実験の場としてワクワクできるラボから新しい文化をご提案したい。そんな工夫が、やさしい木の効果を主役に空間のあちらこちらに隠れています。

こだわったのは、緑や木、石や土など年月が経つごとに変化する自然の素材感です。“森をつくる”を設計テーマに、外観を囲む木々も大きくなり、石が苔むしていく様を楽しんでいただきたいという思いです。入口へのアプローチは公園の遊歩道をイメージし、内装は太い柱と梁を魅せ、割石の壁や土壁にするなど森林浴のような雰囲気を醸し出しています。

夏のイメージの素麺を、四季ごとに楽しむ各種メニューや、飲食スペースとオリジナルの手延べ素麺販売スペースを一体化し開放感を演出して、お客様の評判を呼んでいます。木の香りと自然素材に包まれたオフィスは、フリーアドレスのデスクにし、天井に照明器具を設けず間接照明とするなど、働く方の意識も変わり新たな発想が生まれているそうです。