相続税の基本と対策

相続するときには現金ではなく土地や建物で相続したほうが、評価額が下がるので相続税を抑えることが可能です。相続対策にお困りの方も多いかと思います。そんな方のために、相続税の仕組みや賃貸住宅経営のメリット、賃貸住宅経営の気を付けるべき点などを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

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相続税とは

相続税を払うのは負担が大きいというイメージを持っている人もいますが、実際どのような仕組みなのか知らない人も多いようです。まずは相続税の仕組みについて簡単に解説します。

相続税がかかるケース

相続税がかかるのは、相続・遺贈・死因贈与の3つのケース。相続とは、被相続人が死亡したことにより、法律で定められた法定相続人である配偶者や子に、財産が包括的に引き継がれることです。遺贈とは、被相続人が死亡したときに遺言書に記載があり、法定相続人以外の人に財産の一部か全部を譲ることを指します。そして死因贈与とは、被相続人が生前に誰かに財産を受け渡すという契約をして決めていたものです。死因贈与は、被相続人と契約した相続人の双方が財産の受け渡しについて表明している点が、遺贈とは異なります。

相続財産になるもの

相続とは、亡くなった人の財産・権利・義務すべてを引き継ぐことを言います。そのため、プラスの財産もあれば、マイナスの財産も相続財産です。例えば、不動産や預貯金などの現金、美術品や宝石などはプラスの財産で、借金や住宅ローン、税金滞納などはマイナスの財産になります。相続するときは、そのすべてを相続します。

また死亡保険金などは、法律上は相続財産とはなりませんが、相続税の課税対象になる「みなし相続財産」となるので注意が必要です。

相続税を決める流れ

相続税を決定する仕組みは、大きく分けて以下の4つの手順を踏みます。

  1. 遺産全体の課税価格を求める(現金だけでなく不動産などの評価額などをもとに算出)
  2. いったん法定相続人分で按分して、それぞれ控除等も入れて相続税額を計算する
  3. それぞれ出た相続税額を合計して相続税の合計金額を算出
  4. 相続税合計金額を、実際の相続分の割合に合わせて割り振り、申請し納付

相続税の節税対策とは

相続税がかかるかどうかは「遺産総額」が「基礎控除額」を上回るかどうかで決まります。遺産総額は「土地建物」「現預金」「有価証券」「美術品等」「死亡保険金」等から、被相続人の「借金」「葬儀費用」等を差し引いたものです。そして、「基礎控除額とは、税額計算上の一定の非課税枠のことを指します。

節税には、不動産への対策が鍵!

相続税の発生要因で、大きな比重を占めるのが不動産の評価額です。平均的に相続財産の約47%が土地と建物であり、節税においては不動産への対策が鍵になります。

「資産価値」を下げずに「評価額」を下げる

土地を更地で受け継ぐと、評価額の100%が課税価格として計上されます。相続税対策を考える場合、土地の評価額をいかに下げるかがポイントです。賃貸住宅を建築することで、土地の評価額を下げることができるため、賃貸住宅経営が相続税対策に向いていると言えます。

賃貸住宅を建てた土地は「貸家建付地」

土地の評価は、何も活用していない更地の状態ではそのままです。しかし、賃貸住宅を建てることで土地の評価は概ね更地の80%程度(借地権と借家権が考慮されるため)となり、評価額の減額が見込めます。

賃貸住宅の建物は「評価減」を受けます

建物は固定資産税評価額(概ね建築費の50~60%程度)で評価されます。また、建物を賃貸することで借家権割合(30%)が差し引かれ、固定資産税評価額の70%での評価、実際の建築費用の42%程度となり、建物の評価額も減額できます。

小規模宅地等の評価減の特例条件を満たせば、更に節税も

土地の上に住宅や事業用の建物が建っている場合、相続税の対象となる評価額を、更に減らせる小規模宅地等の特例があります。ここでは、その条件を紹介します。

小規模宅地等の評価減の特例とは…

相続税の計算上、被相続人等の自宅や事業用の敷地の評価について、相続税をまともに課すことで、相続人が居住や事業を継続できなくなってしまわないように、一定の要件のもとで減額が認められています。

被相続人が所有していた敷地が、特例の対象となる3つの用途

特例の対象になる3つの用途は以下です。

①賃貸住宅等の敷地(貸付事業用宅地等)

被相続人が経営する賃貸住宅を、相続人が引き継いで経営することで、「貸付用」の小規模宅地等の評価減の特例が適用されます。

②ご自宅の敷地(特定居住用宅地等)

配偶者もしくは同居親族か持ち家を所有していない子※が相続する場合、「居住用」の小規模宅地等の評価減の特例が適用されます。

  • 相続開始前3年以内に本人(相続人)または本人の配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと。

③事業用の敷地(特定事業用宅地等)

被相続人が経営する事業(貸付事業以外)を、相続人が引き継いで経営することで、「事業用」の小規模宅地等の評価減の特例が適用されます。

②と③はそれぞれ上限の面積まで併用でき、合計730㎡まで適用が可能となります。

①と②、①と③を併用する場合は面積の調整が必要となります。

賃貸住宅経営のメリット

賃貸住宅経営をすることで得られるメリットは、相続対策はもちろん、他の税金の節約にもつながることです。ここでは賃貸住宅経営のメリットを紹介します。

相続税対策ができる

何といっても相続対策として土地を有効活用するなら、賃貸住宅経営がおすすめです。賃貸住宅には土地・建物の評価額を下げ、相続税を抑える効果が見込めるので、相続対策になります。

家賃収入を得られる

賃貸住宅なら毎月家賃が入り、安定した収入を得ることが可能です。大黒柱を失っても、生活費をまかなうことができたり、収入を家族に分配して納税資金にしたりできます。残された人も安心できるでしょう。

所得税などの節約もできる

家賃収入は不動産所得に入り、毎年所得税がかかります。ただし、管理に必要な経費や、減価償却費を経費として利益から引いて税申告できるので、その他の所得と比較して所得税や住民税が抑えられる効果もあり、節税が可能です。

土地活用や賃貸住宅経営の相談は住友林業へ

相続税の仕組みや、土地の評価額が下がる仕組みなどを紹介しました。賃貸経営には相続税を抑える効果や、家賃収入を生み出せるといったメリットがあります。土地活用や賃貸住宅経営に興味があるようでしたら、まずは専門家に相談に行くと良いでしょう。

住友林業では相続対策の土地活用や賃貸住宅経営、質の良い賃貸住宅の建設など、お客様に合わせたプランを提案しています。土地の相続対策をお考えでしたら、ぜひご相談ください。