東西南北　最適な緑を配置する「緑の羅針盤」

樹木には、日陰を好むものや西日を嫌うものなど、それぞれ特性があります。敷地の日照や風の条件、樹木の特性や生長を考慮して植栽計画をすることで、より快適な環境をつくることができます。ここでは方角別に最適な樹種の例を紹介します。

目次

1.北側に適した樹種例

北側の庭では、積極的に緑陰をつくる必要はありません。日陰を好む樹種を選びましょう。

葉柄が長く外縁が波立っているため、風に吹かれると葉が擦れる音がすることから「ソヨゴ」と名付けられたと言われます。6月頃に小さい白い花が咲き、雌木は秋に赤いさくらんぼに似た実を付けます。日本庭園にもモダンな庭にも似合います。

早春にスズランのような壺形のかわいい花を枝先に付け、樹冠いっぱい吊り下げます。淡紅色の花が咲く品種もあります。葉はやや厚めで少し光沢があり、花が満開となった姿はとても美しく昔から親しまれています。花後、9～10月頃に実が熟します。

明るい色の細長い葉が密集し、防風、防塵、防火の役割を果たしつつ、敷地内の乾燥も防ぐので、古くから家を守る生垣や防風林に使われてきました。4～5月頃に花が咲き、秋に1.5cmほどの実（ドングリ）を付けます。

東側の庭では、気温が高くなる前の午前中に低い角度から太陽光が当たるため、太陽光を遮る必要はなく、むしろ木漏れ日が当たる方が快適です。そのためには下の方まで葉がある必要がないので、葉がまばらな樹木が適しています。木々を植える際にも密集させず、まばらにして多くの光を庭に取り込むようにしましょう。

住友林業緑化が開発したオリジナルハナミズキです。これまでのハナミズキの「枝が大きく広がり剪定に手間がかかる」問題を解決する新品種。狭小敷地におけるシンボルツリーにも対応可能。4～5月に開く、大きなハート型の白い花が魅力です。

カエデ属の中でもっともポピュラーな種で紅葉の代表格です。葉の裂片を「イロハニ…」と数えたのが名前の由来。1 1～1 2月頃に黄褐色から紅色に染まります。寒暖の差が大きいとより深い紅葉に。日当りが強いと葉が傷みやすいので注意します。

葉や枝ぶりなど樹姿全体に和の趣きが感じられる樹種で、若葉のなかに咲かせる白い花が美しく、秋には紅葉も楽しめます。葉と花はナツツバキよりも少し小さめですが、樹高は高めに生長。赤褐色の樹皮がところどころ剥がれて趣きある模様になります。

南側の庭では、夏季に緑陰をつくり、冬は落葉して太陽光を建物内に入れることができる落葉樹が適しています。生長が早すぎる樹や葉が混みすぎて下が暗くなる樹木は避けた方が良いでしょう。

生長しても端正な樹形にまとまりやすい樹種です。6月頃に白い花を咲かせ、9～10月に赤く実が熟します。実は食べることができます。紅花の咲く品種や枝垂れ状の品種などさまざまなタイプがあり、株立ちでも一本立でもシンボルツリーになります。

西側の庭では、気温の高くなる午後に低い角度からの太陽光が当たるため、密で下の方まで葉のある常緑樹が適していますが、冬季に光を採り込みたい場合は落葉樹が良いでしょう。落葉樹ではサルスベリ、常緑樹ではオリーブ、シマトネリコ等が適しています。

花を長く楽しめる樹木の一つ。近年は班入り葉の美しい品種が人気です。写真は「アベリアサンライズ」。薄黄色の覆輪葉の白花種で、全体が明るいイメージ。季節により葉色が変化し、春は鮮やかな色合い、夏はクリーム色、秋には赤味が入ります。

洋風ガーデンを代表する地中海生まれの樹種。葉裏が白っぽく軽やかな印象です。5～6月に黄白色の小花を穂状に咲かせて、かすかに甘い香りを漂わせます。果実はピクルスなどの材料に。強健で耐寒性も強く、荒地・やせ地でも丈夫に育ちます。

初夏から華やかな淡紅色～紅紫色の花を咲かせ、9月頃まで長く花を観賞することができます。樹皮が滑らかで、ところどころ表皮が剥げた跡がまだら模様になり趣きを感じさせます。比較的病気に強く、古くから庭木や街路樹として植えられてきました。

森の樹木図鑑

住まいの地域や日当たりなどの条件で最適な樹木が検索できる「森の樹木図鑑」。日付を入力すると誕生樹もわかります。ぜひご活用ください。