毎春咲く多年草。

春の訪れを感じさせる花が咲く、美しい庭をつくるためにガーデニングを始めたい人もいるでしょう。しかし、どのような種類の花を植えたら良いのか悩むかもしれません。今回は初心者でも育てやすく手間がかからない多年草や、一緒に植えると良い効果をもたらしてくれるコンパニオンプランツについて紹介します。

関連キーワード:

庭植えのコツ

せっかくガーデニングを楽しむなら、プランターだけでなく、庭に植物を植えるのがおすすめです。ガーデニング初心者が花壇をつくる時に知っておくと良い、ちょっとしたコツを紹介します。

【土】植物が元気に育つ土を用意する

美しい花壇づくりの第一歩は、元気良く植物が育つための土づくり。日当たりの良い場所を選び、水はけが良く栄養たっぷりの園芸用培養土を混ぜ込みましょう。花壇ではなくプランターを使う時も、根詰まりを防ぐために、たっぷりと土を入れることをおすすめします。

【花】植え替えの必要がない種類を選ぶ

ガーデニング初心者なら、あまり手間をかけなくても毎年花が咲き、管理が楽な種類を選ぶと良いです。その代表が多年草、宿根草(しゅっこんそう、しゅくこんそう)と呼ばれる種類です。多年草とは、数年にわたって枯れずに、毎年花を咲かせる植物です。宿根草も同じですが、生育期が終わると地上に出た部分が枯れて根だけ残るのが特徴です。

多年草や宿根草は植え替えが必要ないので、まずはこれらの種類からガーデニングを始めてみて、その後に一年草などの好みの花を追加して、花壇を彩ると良いでしょう。おすすめの多年草については、後ほど詳しく紹介します。

境界線を決めて好みのレイアウトを考える

そもそも花壇とは、植物を育てるために区切られたスペースのことです。そのため、庭の通路や別の用途に使うスペースとの境界線をきっちり設けることが大切。境界をはっきりさせることで、間違って踏み込んで荒らすことがなくなります。

境界線のレイアウトは、直線ならモダン、曲線ならやわらかな印象になります。このように、自分好みのレイアウトを考えるのもガーデニングの楽しみの1つです。また、花壇の周りを囲う素材にもさまざまな種類があります。例えば、木材ならナチュラルに、レンガならアンティーク風に、貝殻ならマリンテイストなど、素材によってもその雰囲気は変わります。好きなレイアウトや素材を用いて、理想の花壇をつくっていきましょう。

毎年春に花を咲かせる、育てやすい多年草

春に花を咲かせる多年草の植物は、色鮮やかで生命力溢れるものばかり。今回は、プランターに植えても庭に地植えしても、すくすく育つ多年草を紹介します。

ツル性植物の女王「クレマチス」

クレマチスは、大きな花を毎年咲かせてくれる多年草です。ツル性植物の女王とも呼ばれ、家の外壁などにツルを這わせて楽しむ方法もあります。また、鉢植えでも楽しめる花ですが、ツル性植物なのでツルを誘導する支柱などを立てておくと良いでしょう。

バラにも負けない、華やかさのある花を咲かせてくれるクレチマスは、大きさや色のバリエーションが多いため、選ぶ時も楽しめるでしょう。開花時期は種類によって異なりますが、5~10月頃です。

香り高いハーブ「ラベンダー」

本来ラベンダーは木に分類されますが、一般的には多年草として知られています。ハーブの一種で、
香りも楽しめることでも有名です。花の色は紫がメジャーですが、ピンクや白の花を咲かせる種類もあり、プランターや花壇一面を美しく彩ってくれるでしょう。選ぶ時には、植える地域に適したラベンダーの種類にするようにしてください。開花は4~7月頃です。

キラキラと咲く「オステオスペルマム」

オステオスペルマムはキク科の多年草で、太陽があたると花が開き、夜や雨の日には花を閉じる習性があります。ツヤのある花びらが特徴で、キラキラと華やかに咲きます。花の形や色のバリエーションが豊富で、他の種類の花と一緒に植える寄せ植えにもおすすめ。寒さには強いですが、霜や雪に触れないようにしましょう。開花は、1月中旬~5月と9月中旬~11月中旬です。

ピンクの絨毯が目指せる「芝桜」

地面を覆うように咲く芝桜はピンクの絨毯のように美しく、芝桜で有名な観光地があるほど。芝桜は色の種類が豊富で、害虫もほとんど発生しないため、育てやすいでしょう。一度植えてしまえばお手入れも比較的簡単。土の表面が乾いたらたっぷりと水やりを行うなどで、毎年咲いてくれます。夏の蒸れには弱いですが、冬の寒さには強い花でもあり、開花は4~5月頃です。

手間いらずで花を咲かせる球根植物

種や苗からではなく、球根から育つ球根植物。有名なのはチューリップですが、他にもカラフルに庭を彩る球根植物はたくさんあります。そこでここでは、掘り返さなくても毎年花を咲かせてくれる球根植物について紹介します。

香りが良い「ムスカリ」

果物のブドウのような花を咲かせるムスカリ。生長すると丈が15センチ程度になり、自然に分球したり種がこぼれたりして、毎年どんどん花が増えるのが特徴です。また、寒さにとても強いため、一度植えると数年間花が咲く多年草です。開花は3~5月頃で、香料のムスクに似た香りがします。

花びらが豪華で華やか「ラックス系ラナンキュラス」

ラナンキュラスは、花びらをいくつも重ねた華やかな姿が特徴で、白・ピンク・オレンジなど色の種類が豊富です。

一般的なラナンキュラスは、花が散ったら1ヵ月ほど水やりをした後、土が乾いた時に球根を掘り起こして保存する必要があります。しかし、ラックス系のラナンキュラスなら、花が終わった後の球根を掘り起こす必要がありません。そのまま植えておくと次の年にも花を咲かせてくれるので、初心者におすすめの品種です。この植物の開花は3~5月頃です。

コンパニオンプランツにおすすめの花

異なる植物を一緒に植えておくことで、生育に良い効果が得られる植物のことをコンパニオンプランツと呼びます。ここでは、コンパニオンプランツの概要や、春の花の中でコンパニオンプランツに向いている植物を紹介します。

コンパニオンプランツとは

コンパニオンプランツとは同じ場所で一緒に育てることで、害虫を寄せ付けなかったり、生育を促してくれたりする植物のことです。例えば同じプランターでニンニクとイチゴを一緒に育てると、ニンニクの匂いで、イチゴの生育を妨げるアブラムシを寄せ付けない効果が期待できます。またニンニクの根元に生息すると言われる微生物が、イチゴの病原菌を減らしてくれます。

一般的にコンパニオンプランツは、野菜とハーブなどの組み合わせが多いですが、特定の種類の花も野菜と組み合わせることで効果があるとされています。

虫が嫌う「マリーゴールド」×根菜類

マリーゴールドは一年草ですが、ガーデニングで見かけることも多く、開花時期が4~12月と長い間楽しめる花です。マリーゴールドの根元は根菜類の害虫が生息できないので、大根などの根菜類との相性が良いと言われています。また、この花の香りをアブラムシなどの虫が嫌うので、トマトやナスなどの野菜との相性も良いでしょう。

育成を促す「カモミール」×アブラナ科野菜

ハーブの一種で、花の姿を愛でるだけでなく、お茶としても楽しめるカモミール。品種によって一年草と多年草があります。地植えでもプランターでも栽培可能で、種がこぼれて自然と花が増えていくため、ガーデニング初心者でも育てやすいでしょう。

カモミールは周りの植物に活力を与えてくれます。アブラムシを引き寄せるので、キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科植物の生育を促進させ、風味を良くします。

毎年春を庭で感じよう

冬になると一度は枯れてしまっても、春に息を吹き返すかのように咲き誇り、庭を彩ってくれる多年草。比較的簡単なお手入れでもしっかり育つ植物なら、ガーデニング初心者でも育てやすいでしょう。コンパニオンプランツも上手に利用しながら、徐々に植物を増やしてガーデニングライフを楽しんでください。