仕上げ塗装の種類と特徴

木質フローリングは、製造工程の最終段階で仕上げ塗装を行います。仕上げ塗装の役割は、木材の保護と美観の向上です。
仕上げ塗装の種類は、主に「ウレタン塗装」「UV塗装」「オイル塗装」の3種類があります。
「ウレタン塗装」「UV塗装」のフローリングは、使用後のメンテナンスの際にワックスを利用してお手入れしますが、「オイル塗装」のフローリング(オイル仕上げフロア)は、ワックスは使用せず、専用の保護オイルでお手入れします。
ここでは、「ウレタン塗装」「UV塗装」「オイル塗装」の特徴を紹介します。

  • 塗装の工程などは一例です。製品により異なる場合がございます。
関連キーワード:

ウレタン塗装の特徴

ウレタン塗装とは

ウレタン塗装は、木の表面にポリウレタン樹脂の塗膜を形成する塗装です。ポリウレタンの塗膜は非常に強靭で、付着性にもすぐれ、木材を割れにくくするため、フローリングの塗装として広く使われています。

ウレタン塗装のオーク無垢フロア

塗装方法と特徴

塗装は大きく分けて、下塗り、中塗り、上塗りの3工程に分かれています。それぞれの工程で違う役割の塗料を塗ります。
下塗りは、木にある程度、塗料をしみ込ませて木と密着させることが主な目的です。また、杉や松などヤニが出てくる木には、ヤニ止めが入っていることもあります。
中塗りは、木の耐久性や、熱や水気などに対する耐候性を高めるのが主な目的です。塗膜の中で一番厚くする部分です。
上塗りは、触感や見た目を美しく仕上げるための塗装です。ツヤ感をコントロールしたり、触り心地をさらっとさせたり、すべりにくくさせるのも、この上塗りによります。
ウレタン塗装の場合、下塗り、中塗り、上塗りの方法は、主に以下の4種類があります。

  1. ワイピング:塗料を刷毛で塗布し、布で拭き上げる方法。
  2. スプレー:塗料をエアーガンで霧状に塗布する方法。
  3. フローコーター:塗料を滝のように流し、その中に板を通して塗装する方法。
  4. ロールコーター:回転するロールに塗料を塗布し、板に付着させる方法。

ワイピングは手作業で行います。塗料によって木に色を付けることができますが、ワイピングなら、木目の色の濃い部分を強調させるなど、木目を際立たせることができます。
スプレーのメリットは、仕上がりを微調整できることです。塗膜が薄い部分などに吹き付け重ねたりすることが容易です。また、細かな霧で吹き付けるため、仕上がりがよりきれいに、さらっとした感じなります。
また、スプレーは薄く塗ることができるので、木の表面の細かな凹凸を出しやすく、木の表情を出しやすいという特性があります。
各工程で最適な塗装方法が採用されます。例えば、右上の写真のオーク無垢フロアの場合、下塗りがワイピングで、中塗りはフローコーター、上塗りはスプレーで仕上げています。
また、ウレタン塗装は1回塗装するごとに、乾燥ブースで数時間~24時間乾燥させる必要があるため、時間と手間をかけた塗装方法といえます。

フローコーターのイメージ

利用時のお手入れについて

ウレタン塗装により、フローリングは耐久性や耐候性が高められ、傷などもつきにくくなっていますが、使い続けることで、ツヤ感がなくなってきたり、汚れがつきやすくなります。そのような場合は、ワックスがけが有効です。ワックスをかけると、床をガードする膜ができ、傷や汚れが付きにくくなります。
ワックスがけの際には、フローリング表面の汚れやゴミをしっかりと掃除し、水拭き後、その水分をしっかりと乾かしてからワックスがけをする必要があります。

UV塗装の特徴

UV塗装とは

UV塗装とは、紫外線を照射して塗料を硬化させる塗装方法のことです。UV塗装はウレタン塗装より塗膜が硬くなる傾向があります。

UV塗装のメイプル無垢フロア

塗装方法と特徴

塗装方法は、ウレタン塗装と同様に、下塗り、中塗り、上塗りの3工程に分かれています。

UV塗装の場合、塗装方法は主に以下の2種類があります。

  1. フローコーター: 塗料を滝のように流し、その中に板を通して塗装する方法。
  2. ロールコーター:回転するロールに塗料を塗布し、板に付着させる方法。

UV塗装は、機械で塗料を塗ってから紫外線照射機で光を当てることにより数秒で塗料を固めることができます。そのため、機械を使って下塗り、中塗り、上塗りを連続して行うことができます。

UV塗装の場合は、機械によって均一に塗装することを得意とするため、フローリングの凹凸の無い滑らかな表面にすることができます。

利用時のお手入れについて

UV塗装のフローリングは、耐摩耗性、耐候性にすぐれており、塗装面が硬くて強く、汚れが付きにくいという特徴があります。しかし、使い続けることで、ツヤ感がなくなってきたり、汚れがつきやすくなります。そのような場合は、ワックスがけが有効です。

ワックスがけの際には、フローリング表面の汚れやゴミをしっかりと掃除し、水拭き後、その水分をしっかりと乾かしてからワックスがけをする必要があります。

オイル塗装の特徴

オイル塗装とは

オイル塗装とは、床材の表面に天然植物オイル(亜麻仁油(あまにゆ)や荏胡麻油(えごまゆ)など)をしみ込ませたものです。オイルは木の内部にしみ込み、木を保護しながら木質感と高級感を与えます。ウレタン塗装やUV塗装と異なり、木材の表面に樹脂の塗膜は作りません。

オイル塗装のチェリー無垢フロア

塗装方法と特徴

オイル塗装は、ハケでオイルを塗り、布で塗り広げてしみ込ませ、余分なオイルを拭き取って、1日程度乾燥させるという完全な手作業です。このワイピング作業を2回ほど繰り返し、最後にバフ研磨機と呼ばれる機器で布磨きをします。

オイル塗装は、カサカサした手肌に塗るハンドクリームのように、木という素材に潤いを与えて保護する役割があります。もしオイルを塗らないと、フローリングの表面が乾燥してカサカサになってしまいます。

利用時のお手入れについて

オイル仕上げの床は、使い続けることによってオイル分が不足し、表面が乾燥しやすくなります。木に潤いを与えて保護するためには、オイルがけが大切です。

オイルは、フローリングの表面のツヤを確認し、見た目がカサカサしてきたり、触ってガサガサしてきたら塗るようにしましょう。普段の生活でよく歩くところはツルツルしていても、窓際は表面が乾燥したり、ダイニングテーブルの下などは水分が落ちやすいので表面が荒れてきます。そのような場合は、部屋全体をオイルがけするのではなく、部分的なオイルがけをおすすめします。

オイルがけをする時期の一つの目安としては、水滴を落として、水滴がフローリングにしみ込むようならオイルがけの適期です(オイルがしっかり浸透していれば、水をはじきます)。使用状況に関わらず、1年程度ごとに全面的なオイルがけをおすすめします。

ワックスやオイル仕上げフロア専用保護オイルなどのご購入はオンラインショップへ