常緑樹の中高木、株立ちの剪定

不要枝を整理して日当たり・風通し向上 -ヤマモモ編-

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教えてくれるのは 住友林業緑化のグリーンサポーター 関光則氏(有限会社関造園土木)

今回は、常緑樹の中高木の株立ちの場合の剪定を、ヤマモモを例にご紹介します。
常緑樹の剪定の適期は、基本的に暖かくなり始める春から初夏(4~7月)。常緑樹を冬場に剪定すると、樹木全体が寒気にさらされて春の芽吹きに悪い影響を与え、枯れてしまう場合があるので注意してください。盛夏の剪定も同様に注意してください。

ヤマモモは、雌雄異株で、雌木には、ルビー色の実が付き、採果用の品種が作られているように果樹としても利用価値があります。街路樹や公園などにもよく植樹されています。
今回の剪定は、込み合った枝を整理して日当たりをよくする「透かし剪定」です。樹形を乱し、樹木の生長を妨げる不要枝を取り除くことで、光と風が樹木の内部まで届き、木全体にまんべんなく花芽がつくようになり、健康で美しい姿を保つことができます。

剪定のポイント

今回、剪定を行うのは、こちらのヤマモモ。以下の3つをポイントに透かし剪定をしました。
剪定の手順としては、上部から整えていく(ポイント3から始める)方法と、中の方から透かしていく(ポイント1から始める)方法がありますが、今回は、高さは3m前後で、まだ生長させてもよさそうなので、株の中の方から整えていきます。

ポイント1 内側の不要枝をカット

はじめに内側の込み合っている枝を、日が差し、風通しが良くなるように剪定していきます。他の枝と交差している枝や上向きに生えている枝など、他の枝を邪魔している枝、絡んでいる枝をカットします。また、枯れている枝葉も取り除きましょう。今後、伸びたとしても、他の枝葉の邪魔になりそうな枝は切っておくと良いでしょう。

矢印のとおり株の内側に伸びている枝は、他の枝と交差をして邪魔になっています。このような枝は、分岐点(点線部)からカットします。

内側で日が当たらずに枯れてしまっている枝もあります。このような枝も、同様にカットします。

隣の幹にぶつかっていく枝もカットします。

太い幹に沿って上に伸びようとする枝も、他の枝葉とぶつかり合うのでカットします。

写真4と同様に、右側の矢印の幹に沿って上に伸びようとしている若い枝があります。これも他の枝葉とぶつかるので邪魔ですが、少し切り戻しておけば、他の方向に枝を伸ばすかもしれません。

下の方の芽が残っている部分を残して点線部分でカットすることで、今後、光を求めて矢印の方向に生長するかもしれません。このように、すこしだけ切り戻してから様子を見て、やはり邪魔になってきたら剪定し直すというのも一つの方法です。

真上に伸びて他の枝と交差する枝をカットします。

カットしたことで、込み合っていた部分の風通しが良くなります。

込み合っている部分の風通しをよくするために、3本に枝分かれしている部分を剪定します。

通常は、写真のように真ん中の枝をカット。ただし、まわりの込み合い具合によって、どの枝をカットするかを検討しましょう。

ポイント2 外側を整える

ある程度内側がすっきりしてきたら、外側も剪定していきます。勢いよく飛び出している徒長枝や、葉が込み合って風通しが悪くなっている部分を剪定し、輪郭を整えていきましょう。

外に伸び出してきた枝をカットして樹形を整えます。

外に伸び出してきた枝をどれぐらいカットするべきか、迷ったら段階的に切ってみましょう。まず、上の方で切ってみて、少し離れて様子を見て、バランスがまだ悪ければもう少し切ります。

外に伸び出してきた下枝も、教科書的には枝元から切るべきかもしれませんが、今切ると、その部分がさみしくなりそうです。

そこで、全部切るのではなく、先の込み合った部分だけカットし、今後のまわりの茂り具合を様子見することにします。

株元から伸び出して枯れた枝を発見。

このようなものは根元からカットしましょう。

ポイント3 上部を整える

最後に上部の剪定を行います。
日光の関係などで肩口が枝が伸びやすいので、最初から角を四角に切りそろえるよりも、円錐形やロケット型に整えた方が良いでしょう。

今回は、高さを切り詰めるのではなく、全体の樹形を整えるように剪定します。
脚立を使う場合は、無理に手を伸ばしたりなどせずに、脚立の位置を移動しながら作業しましょう。

枝葉は同じぐらいのスピードで生長するので、飛び出ている徒長枝以外を切りそろえる場合は、例えば、先端からの葉の枚数をだいたいそろえて切ると、自然に樹形も定まってくるでしょう。

ときどき、脚立から降りて全体像を確認しましょう。
枯れ葉は見た目も悪く、木にとって役に立たないので取り除きましょう。また、虫食いの葉には虫の卵などがあるかもしれないので取り除きましょう。

【ひと口メモ】

葉のつき方の種類

樹木の葉のつき方には、枝から互い違いにつく「互生」、1節から対に出る「対生」、1節から3本以上の葉が出る「輪生」があります。
ヤマモモの場合、葉は互生で、螺旋状についています。

剪定完了

内側を中心とした剪定で、株全体が風通しよく、中まで日が当たりやすくなりました。
切り始めは、一部だけを切ると穴が空いたように見えて不安になるかもしれませんが、全体を透くとスマートな樹形になります。
プロの場合、1年に何度も剪定にお伺いできないので、1年後の姿を想像して、今後、邪魔になりそうな枝をしっかりと切っていきます。
でも、ご自身のお庭の場合、気になったときに切ることができるので、迷ったら切りすぎないように、少し上の方で切って様子を見たり、次回まで切らずに置いてみるのもよいでしょう。
教科書通りに「不要枝はすべて切らなくてはいけない」と思わなくて良いのです。そのような枝も何割か残しておいて、また次の機会に切ればよいでしょう。

正面から見た様子

見やすいようにまわりを画像処理しています。

横面から見た様子

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