バラの剪定

冬の剪定 -四季咲き大輪木バラ、四季咲き中輪木バラ、つるバラ編-

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教えてくれたのは、新井 達也氏 (京成バラ園芸株式会社 バラ営業部主任) 撮影協力:京成バラ園

バラには、年に1度、主に春だけ花が咲く一季咲きのものと、1年を通して繰り返し咲く四季咲きのものがあります。樹形で大別すると、株立ちの木バラ、半つる性のシュラブローズ、つる性のつるバラがあります。
また、花が大きな大輪系のバラは、1つの枝に大きな花を一輪だけ咲かせ、中輪系のバラの多くは枝先からいくつもの花を咲かせます。
大輪系のバラはいかに立派で大きな花を咲かせるか、中輪系のバラはいかにたくさんの花を咲かせるかが楽しみの一つです。
今回は、四季咲き大輪系の木バラを中心に、四季咲き中輪系の木バラ、つるバラの冬の剪定方法も紹介します。
バラは落葉樹なので、冬に休眠に入り、葉を落とします。この時期に、春(5月ごろ)の開花に向けての作業をします。
バラは枝を切るとすぐに新しい芽が出てくるので、冬の剪定はバラが休眠中の最も寒い1月下旬から2月に行うと、余計な体力を使わせないで済みます。それ以前に剪定すると、寒い時期に芽が出て生長しようとして余計な体力を使うのでご注意ください。
なお、剪定の際には、バラのトゲを防ぐため、園芸用の厚手の革手袋を必ずご用意ください。

四季咲き大輪系木バラの一例「キャラメル アンティーク」

つるバラの一例「アミロマンティカ」

四季咲き中輪系木バラの一例「ボレロ」

トゲを防ぐには厚手の革手袋が安全です。園芸用品店でバラ用のものを用意しましょう。

四季咲き大輪木バラの剪定のポイント

四季咲き大輪系のバラの剪定では、1枝に一輪しか咲かせないので、細い枝などは枝元から切って、太い枝をしっかり残して、立派な大きな花が咲くようにします。
冬の剪定では、一般的に全体の高さを3分の1程度に抑えたいので、まずは、大まかに半分ぐらいの高さまで枝を切ります。次に枯れ枝や細い枝など不要な枝を整理します。最後に高さが3分の1程度になるまで切ります。その際に、新芽の位置を確認し、外芽の上で切るようにしましょう。芽のすぐ上で切ると枯れ込んでしまう危険性があるので、芽の0.5~1センチ程度上で切ります。
今回は写真左の四季咲き大輪木バラのロマンティック アンティークを剪定します。剪定の様子が見やすいように、あらかじめ花を摘んだ状態です。

四季咲き大輪木バラ:ポイント1 半分ぐらいの高さまで剪定

最終的には高さを3分の1程度にしますが、まずは半分ぐらいの高さになるように全体の枝を切っていきます。

花がらや枯れ葉を摘んだ状態です。枯れ葉は翌年に病害虫を残さないためにも、早めに摘み取っておきましょう。

全体の高さの半分程度を切っていきます。

枝の途中から切って大丈夫です。

半分程度に切った状態です。

四季咲き大輪木バラ:ポイント2 不要な枝の整理

全体が見やすく剪定しやすくなったので、枯れ枝や細い枝など不要な枝を整理していきます。なるべくしっかりした枝を残した方が良い芽が出るので、割り箸より細いような枝はすべて切ります。

このように色が変わっている部分は枯れている枝です。

こちらも生長が悪いので切ります。

割り箸より細いような枝は切ります。

切る際は枝元から切ります。

四季咲き大輪木バラ:ポイント3 3分の1程度まで高さを調整

バラは生長が早く、花を咲かせるごとに大きく育ちます。そこで冬の剪定では、もう少し高さを抑えるように剪定します。低い位置で切るほど、太い枝から芽が生えるので、しっかりした枝が生えてきます。
剪定の際には、できるだけ外側に枝が広がるように新芽の位置を確認して、伸ばしたい芽の0.5~1センチほど上で切るようにします。

現状だと、一番花が咲くのはこれぐらいの位置になります。四季咲きの場合、花が咲いたら、生長した枝の半分程度で切り戻し、さらに生長して次の花を咲かせるため、どんどん背が高くなります。

一番花、二番花、三番花と、どんどん背が高くなるので、もう少し高さを抑えておきます。

丸囲みの部分が新芽です。株の内側に向いている芽を内芽、外側を向いている芽を外芽と呼びます。基本的に外芽が伸びるように剪定します(内芽を伸ばすと株の内側が込み合うため)。

元はこのように葉の付け根に芽ができていました。左の写真はその葉がなくなった状態です。

例えば、丸部分の芽を伸ばすには、その0.5~1センチほど上で切ります。

さらに右側の枝も新芽の方向を意識して、その0.5~1センチほど上で切り、それぞれの方向に枝が広がるようにします。

高さを見ながら、伸ばしたい方向の枝を残していきます。

この程度まで切り戻せば完成です。

剪定完了!

バラは枝を切ると新しい芽を出そうとします。しっかりと剪定することが、次の芽吹きを促します。ばっさりと切っても、芽の位置にさえ気をつければ問題ありません。

【ひと口メモ】

バラのその他の時期の剪定方法
一般的な四季咲きの木バラは冬の剪定の他に花後の剪定、夏の剪定を行います。

●花後剪定

一般的な四季咲きのバラは芽が出始めてから50~60日程度で花を咲かせます。
3月下旬ごろに芽が出るとすると、5月あたりに開花します。5月に咲いた花が枯れた段階で花後の剪定をします。出た枝の半分ぐらいの長さまで剪定します。だいたい5枚葉を数枚残して節(新芽)の上で切ります。
剪定後50~60日程度で次の花を咲かせるので、そのあとも同様に出た枝の半分ぐらいの長さまで剪定。それを繰り返します。徐々に背が高くなるので、冬の剪定でしっかりと高さを切り詰めます。

前回の剪定時から花が咲くまでの生長。

花が枯れたら、その半分ぐらいの高さまで切り戻し。

●夏の剪定

真夏は暑すぎるため、良い花がつきにくくなります。余計な体力を使わせずに秋にきれいな花を咲かせるために剪定します。長く伸びた枝を半分ぐらいに切り戻します。8月下旬から9月上旬に剪定することで、10月下旬にきれいな花を咲かせます。

四季咲き中輪木バラの剪定のポイント

四季咲き中輪系のバラは、花の大きさよりも、たくさんの花を咲かせることを優先したいので、四季咲き大輪系よりも枝数を残す剪定をします。また、四季咲き大輪系よりは高さの生長はゆるやかなので、全体の高さを半分程度に剪定します。
手順は大輪系と同様。まず、大まかに3分の2ぐらいの高さまで枝を切ります。次に枯れ枝や細い枝など不要な枝を整理。ただし、大輪系よりは枝数を残すようにします。最後に高さが半分程度になるように整理します。
今回は四季咲き中輪系のボレロという品種を剪定します。

四季咲き中輪木バラ:ポイント1 3分の2ぐらいの高さまで剪定

最終的には高さを半分程度にしますが、まずは3分の2ぐらいの高さになるように全体の枝を切っていきます。

全体の高さが3分の2程度になるように切っていきます。高さは適当で大丈夫です。

枯れ葉も翌年に病害虫を残さないために摘み取っておきましょう。

四季咲き中輪木バラ:ポイント2 不要な枝の整理

全体が見やすく扱いやすくなったので、枯れ枝や細すぎる枝など不要な枝を整理していきます。

このように色が変わっている部分は枯れている枝なので切ります。

下の方の細い枝はすべて切ります。

大輪系よりは枝数を残すようにしますが、この程度の細い枝は切ります。

株の内側に生えてきた邪魔な枝も切ります。

四季咲き中輪木バラ:ポイント3 半分程度まで高さを調整

最後に、全体の高さが半分程度になるまで整えていきます。その際は、新芽の位置を確認して、伸ばしたい芽の0.5~1センチほど上で切るようにします。

切る際には芽の位置を確認。外芽が伸びるように剪定します。

芽の0.5~1センチ程度上の部分を切ります。

芽がない枝も枝元から切ります。

この程度まで枝を残して完成です。

剪定完了!

どの枝を残すべきか、正解というものはありません。あまり考え込まずに感覚で、芽の位置にだけ気をつけて、色つやの良い元気そうな枝を残すようにしましょう。

つるバラの剪定ポイント

基本的につるバラは、花が枯れたら花を摘み、枯れ枝や絡んで邪魔な枝、芽がない細い枝を切る程度で大丈夫です。
一季咲きのつるバラは、夏の剪定はあまり必要ありません。四季咲きのつるバラの場合、春に花が咲いた枝は2~3芽残して切り戻し、枯れ枝、芽がない枝、小さな花しか咲かなかった細い枝を枝元から切り戻します。

つるバラのイメージ。

色が変わっている枯れ枝を切ります。

この枝も生長が止まっているようなので、根元から切ります。

細い枝は、新芽を残して切ることで、新しい枝の生長を促します。

枯れ葉は病害虫を残さないために摘み取ります。

世界中のバラが見られる「京成バラ園」

今回、取材にご協力いただいた京成バラ園は、1,600品種1万株の世界中のバラを中心に、四季折々の美しい草花や樹木を楽しめるローズガーデンです。3万平方メートルの園内には、原種、オールドローズから最新品種まで植えられており、園内を1周するとバラの歴史を見ることができます。
バラや植物、園芸用品などを販売するガーデンセンター、バラをモチーフとしたグッズなどを取り揃えるローズショップ、レストラン、カフェなどもあり、バラの見頃には、コンサート・展示会などのイベント、バラをはじめとした各種セミナーも開催しています。バラにご興味のある方は、ぜひお出かけください。
京成バラ園
千葉県八千代市大和田新田755番地
東葉高速鉄道 八千代緑が丘駅下車徒歩15分

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